パテラ(膝蓋骨脱臼)は手術をしない限り治ることはないため、パテラがある子は進行を遅らせるように内科療法と、必要であれば外科的治療を行います。
今はパテラと診断されていない子でも、筋肉の低下などで発症する可能性もあります。私が14歳まで一緒に暮らしていたポメラニアンは、14歳になった頃に筋力の低下でパテラを発症しました。
今回はパテラの予防策と治療法をお伝えしますので、まだパテラと診断されていない場合でも、予防策を参考にして関節に負担をかけないようにしてあげてくださいね。
パテラの内科療法
基礎疾患がある子や麻酔をかけることが難しいパピーやシニアのわんちゃんは、悪化しないように内科治療を選択します。鎮痛薬の処方やサポーターの装着をするとともに、生活環境・習慣の改善を行っていきます。
①体重のコントロール
体重の増加は膝関節に負担をかけるため、適切な体重を超えないように食事やおやつをコントロールしてあげます。
②適度な運動
ダイエットで筋肉を落としすぎてしまうと膝関節にかかる負担が大きくなる可能性もあるため、食事制限だけではなく運動も大切です。膝に負担をかけない適度な運動をさせてあげることで、筋肉を維持しながら体重管理を行いましょう。
③ワックスや滑り止めマットの活用
フローリングや床が滑ると膝の関節に負担がかかります。フローリングに滑り止めのマットを敷いたり、ワックスをかけて滑りにくいように工夫します。また、足裏の毛が伸びていることも脚が滑る原因になるため、カットしてあげましょう。
ただ、外出時に滑りやすい場所もあるため、爪に装着する滑り止めや、肉球に直接貼るシールを活用することもおすすめです。
④サプリメントの活用や腸活
コラーゲンやグルコサミン、コンドロイチンなど関節ケア用のサプリメントを活用し、関節の健康をサポートしてあげましょう。人間やわんちゃんは腸内細菌によって、骨のカルシウム沈着に関わりのあるビタミンKを作り出しています。ビタミンK群をスムーズに作り出せるよう、腸内環境が乱れないよう腸活を意識してあげられるとよいですね。
パテラの外科的治療
パテラの症状やグレード、関節周囲の状態などによって、『整復手術』を行うか判断します。
整復手術では膝蓋骨、靭帯、脛骨粗面(けいこつそめん)*を一直線上にし、膝蓋骨が大腿骨のくぼみにはまり、再脱臼させないようにします。
*脛骨粗面:脛骨の上端部に位置し、膝蓋(しつがい)靭帯の付着する部分のこと
ただ、手術を行っても再脱臼を100%防ぐことは難しく、手術はわんちゃんの精神的・体力的負担も大きいため、できる限り内科療法で悪化を防ぐことが大切です。
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