パテラ(膝蓋骨脱臼)は手術をしない限り完治することはなく、進行を遅らせるための内科療法と、必要に応じた外科的治療を組み合わせて対応します。
今はパテラと診断されていない子でも、加齢による筋力低下で発症する可能性があります。私が14歳まで一緒に暮らしていたポメラニアンも、14歳になった頃に筋力の低下でパテラを発症しました。今回は予防策と治療法を詳しくお伝えしますので、参考にしてください。
パテラの予防策:日常生活でできる5つのこと
パテラは先天性のものだけでなく、生活環境や体重管理によって発症リスクを下げることができます。以下の5つの予防策を日常的に取り入れましょう。
① 体重のコントロール
体重の増加は膝関節に大きな負担をかけます。適切な体重を超えないように、食事量やおやつの量を管理しましょう。肥満気味の犬はまず獣医師に相談して、適正体重と減量プランを確認することをおすすめします。
② 適度な運動で筋力を維持する
膝を支える太ももの筋肉(大腿四頭筋)を維持することが、パテラの進行予防に重要です。ただし、ジャンプや急な方向転換は膝に負担をかけるため避け、平らな場所での散歩や、緩やかな坂道の上り下りなど、関節にやさしい運動を心がけましょう。
③ 滑りにくい床環境を整える
フローリングなどの滑りやすい床は、膝蓋骨が脱臼するきっかけになります。カーペットやラグを敷いたり、犬用の滑り止めマットを設置して、足元の安全を確保しましょう。
④ 高いところからのジャンプを防ぐ
ソファやベッドからの飛び降りは膝への衝撃が大きく、脱臼を引き起こすことがあります。ペット用のステップやスロープを設置して、段差の上り下りをなだらかにしてあげましょう。
⑤ 関節サプリメントの活用
グルコサミンやコンドロイチン、オメガ3脂肪酸を含むサプリメントは、関節の軟骨をサポートする効果が期待できます。予防的に取り入れる場合は、獣医師に相談して適切な製品と量を選びましょう。
パテラの内科療法
基礎疾患がある犬や、麻酔をかけることが難しいパピー・シニア犬の場合は、手術ではなく内科療法で症状を管理します。内科療法の目的は、痛みの軽減と進行の抑制です。
具体的には、鎮痛薬(NSAIDs)の処方、膝関節用サポーターの装着、リハビリテーション(水中歩行や温熱療法)などを組み合わせて行います。体重管理と環境整備も内科療法の重要な要素です。
パテラの外科的治療(整復手術)
パテラの症状やグレード、関節周囲の状態によって、整復手術を行うかどうかを判断します。一般的にグレード2以上で日常生活に支障がある場合に手術が検討されます。
整復手術では膝蓋骨、靭帯、脛骨粗面(けいこつそめん:膝蓋靭帯が付着する脛骨上端の部分)を一直線上に整え、膝蓋骨が大腿骨の溝にしっかりはまるようにします。溝が浅い場合は溝を深くする「滑車溝形成術」を併用することもあります。
手術費用は片膝で15〜40万円程度(病院や術式により異なります)。術後はリハビリ期間として約1〜2ヶ月の安静が必要です。ただし、手術をしても再脱臼を100%防ぐことは難しいため、術後も予防策の継続が大切です。
手術を受けるかどうかの判断基準
パテラの治療方針を決める際は、グレード、犬の年齢、体重、症状の頻度、日常生活への影響度を総合的に考えます。グレード1で無症状の場合は経過観察が基本ですが、グレード2〜3で歩行に支障が出ている場合は手術が推奨されるケースが多いです。
手術は犬の精神的・体力的な負担も大きいため、できる限り内科療法と予防策で悪化を防ぎながら、獣医師と相談して最適な治療方針を決めていきましょう。
まとめ:予防と早期対応がパテラ治療のカギ
パテラは完治が難しい疾患ですが、体重管理・環境整備・適度な運動で進行を大幅に遅らせることができます。すでに診断を受けている場合は、内科療法で痛みを管理しながら、必要に応じて手術を検討しましょう。
まだパテラと診断されていない犬も、特に小型犬は予防策を日常的に取り入れて、関節に負担をかけない生活環境を整えてあげてくださいね。
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