愛犬が後ろ足をひょこっと上げてスキップするように歩く姿を見たことはありませんか?一見かわいらしく見えるこの動きですが、実はパテラ(膝蓋骨脱臼)のサインかもしれません。
パテラは小型犬に多い関節疾患で、犬の整形外科疾患のなかでもトップクラスの発症率といわれています。軽度のうちは一時的なスキップだけで済みますが、放置するとグレードが進行し、手術が必要になることもあります。
この記事では、パテラの原因や症状、グレードごとの進行度と対処法についてわかりやすく解説します。
パテラ(膝蓋骨脱臼)とは?
膝蓋骨(しつがいこつ)とは、いわゆる「膝のお皿」のことです。英語でpatella(パテラ)と呼ばれることから、膝蓋骨脱臼のこともパテラと呼びます。
正常な状態では、膝蓋骨は太ももの骨(大腿骨)の溝にはまっていますが、この溝が浅かったり、靭帯のバランスが崩れたりすると、膝蓋骨が正常な位置からずれてしまいます。これがパテラです。
パテラには大きく分けて3つのタイプがあります。
- 内方脱臼:膝蓋骨が内側にずれる(小型犬に最も多い)
- 外方脱臼:膝蓋骨が外側にずれる(大型犬にも見られる)
- 両方向性脱臼:内側にも外側にもずれる
パテラの原因は先天性と後天性の2つ
パテラの原因は大きく先天性(生まれつき)と後天性(後から発症)に分かれます。
先天性パテラは、遺伝的に膝の溝が浅い、骨格のアライメント(並び方)に異常があるなどの原因で、子犬の頃から発症します。トイプードル、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャーテリアなどの小型犬に特に多く見られます。
後天性パテラは、高い場所からの飛び降り、フローリングでの滑り、交通事故など、膝に強い衝撃や負担がかかることで発症します。肥満による関節への負荷も後天性パテラのリスクを高めます。
パテラのグレード別症状と見分け方
パテラは症状の重さによってグレード1〜4の4段階に分類されます。グレードが上がるほど症状が重く、日常生活への影響も大きくなります。
| グレード | 症状 | 日常生活への影響 |
|---|---|---|
グレード1〜2は経過観察やサプリメント、体重管理で対応できるケースが多いですが、グレード3以上では外科手術が推奨されることが一般的です。
注意したいのは、グレード1でも放置すると進行する可能性があること。「たまにスキップするだけだから大丈夫」と思わず、早めに獣医師に相談しましょう。
パテラになりやすい犬種
パテラは小型犬に圧倒的に多い疾患です。以下の犬種は特に注意が必要とされています。
- トイプードル
- チワワ
- ポメラニアン
- ヨークシャーテリア
- マルチーズ
- 柴犬
- パピヨン
- シーズー
もちろんこれら以外の犬種でも発症することはあります。大型犬では外方脱臼が見られるケースもあるため、犬種に関わらず脚の動きには日頃から注意を払いましょう。
家庭でできるパテラのセルフチェック
以下のような行動が見られたら、パテラの可能性があります。
- 散歩中に後ろ足をひょこっと上げてスキップする
- 走った後に片足をかばうように歩く
- 座り方が横座り(お姉さん座り)になる
- 段差やソファへのジャンプを嫌がる
- 後ろ足を伸ばしてブルブル震わせる仕草がある
これらの仕草は一時的なもので見逃しやすいですが、繰り返し見られる場合は早めに動物病院で触診を受けることをおすすめします。
パテラの予防と日常ケア3つのポイント
パテラは完全に予防することは難しいですが、日常の環境づくりで進行リスクを大幅に下げることができます。
①滑りにくい床環境をつくる
フローリングは犬の足が滑りやすく、膝への負担が大きくなります。カーペットやジョイントマットを敷いて、滑りにくい環境をつくりましょう。
②適正体重を維持する
体重が増えると膝関節への負荷が大きくなります。定期的に体重を測り、適正体重をキープしましょう。特にパテラのリスクが高い小型犬は、100g単位の体重増加でも影響が出ることがあります。
③高い場所からのジャンプを避ける
ソファやベッドからの飛び降りは膝に大きな衝撃を与えます。ステップやスロープを設置して、脚への負担を減らしましょう。
まとめ:スキップを見逃さず、早めの対策を
パテラは小型犬に非常に多い疾患ですが、早期発見と適切なケアで進行を防ぐことができます。
愛犬がスキップしたり、脚を上げて歩いたりする仕草は、「かわいい」と思ってしまいがちですが、パテラの初期サインかもしれません。気になる動きが見られたら、早めに獣医師に相談してください。
日頃からフローリングの滑り止め対策や体重管理を意識して、愛犬の膝を守ってあげましょう。
