パテラ(膝蓋骨脱臼)と診断されたとき、獣医師から「グレード○です」と言われることがあります。パテラは症状の重さによって4段階のグレードに分類され、グレードによって治療方針や日常のケアが大きく変わります。
「うちの子はグレード1だから大丈夫」と安心してしまいがちですが、パテラは進行する可能性がある疾患です。各グレードの症状を正しく理解し、進行を防ぐためのケアを知っておきましょう。
グレード1:無症状〜たまにスキップする程度
膝蓋骨の状態:正常な位置にあり、手で押すと脱臼するが、手を離すと自然に元の位置に戻る。
主な症状:
- 普段はほぼ無症状
- 激しい運動の後にキャンと鳴くことがある
- 時々後ろ足をひょいと上げてスキップするように歩く
- 症状が出てもすぐに普通の歩き方に戻る
治療方針:基本的に経過観察。サプリメントの投与や体重管理、環境整備(滑り止め対策など)で進行を予防します。
グレード2:膝蓋骨が自然に外れることがある
膝蓋骨の状態:正常な位置にあるが、膝の曲げ伸ばしで自然に脱臼することがある。手で押すと元に戻せる。
主な症状:
- 散歩中や運動後に後ろ足を上げて歩くことがある
- 脚を伸ばしてブルブルっと振る仕草が見られる
- 座り方が横座り(お姉さん座り)になることがある
- 走り方がぎこちなくなる場面がある
治療方針:経過観察が中心ですが、症状の頻度が増えてきた場合は外科手術を検討する段階です。関節サプリメントや体重管理に加え、定期的な獣医師の診察が重要です。
グレード3:常に脱臼している状態
膝蓋骨の状態:常に脱臼している。手で押すと元の位置に戻せるが、すぐにまた外れてしまう。
主な症状:
- 常に片足または両足をかばうように歩く(跛行)
- 腰を落として歩く(内股歩き)
- 段差やジャンプを明らかに嫌がる
- 運動量が減り、散歩を嫌がることがある
- 関節の変形が始まっている場合がある
治療方針:外科手術が推奨されます。膝の溝を深くする手術(滑車溝形成術)や、靭帯の位置を矯正する手術を行うことで、膝蓋骨が正常な位置に戻るようにします。手術後はリハビリが必要です。
グレード4:膝蓋骨が完全に外れたまま戻らない
膝蓋骨の状態:完全に脱臼したまま、手で押しても元の位置に戻せない。
主な症状:
- 膝を曲げたままうずくまるように歩く
- 脚を地面につけられない
- 骨格の変形が進み、O脚やX脚になっている
- 歩行困難で日常生活に支障がある
治療方針:外科手術が必須です。骨格の変形が進んでいる場合は、骨切り術などより大がかりな手術が必要になることもあります。グレード4まで進行すると手術の難易度も上がるため、できるだけ早い段階での治療が望ましいです。
グレード別の治療費の目安
パテラの治療費はグレードと手術内容によって大きく異なります。あくまで目安ですが、参考にしてください。
| グレード | 主な治療 | 費用の目安 |
|---|---|---|
※費用は病院や地域、手術内容によって異なります。ペット保険に加入している場合は適用される場合もあるため、確認しておくとよいでしょう。
グレードの進行を防ぐ日常ケア
パテラと診断されても、日常のケアで進行を遅らせたり防いだりすることが可能です。
- 滑りにくい床にする:カーペットやジョイントマット、滑り止めワックスでフローリングの滑りを防ぐ
- 適正体重をキープする:体重増加は膝への負荷を増大させる。小型犬は100g単位でも影響がある
- 高い場所からの飛び降りを防ぐ:ソファやベッドにはステップやスロープを設置する
- 関節サプリメントを活用する:グルコサミン、コンドロイチン、オメガ3脂肪酸など、関節をサポートする成分を含むサプリメントが市販されている
- 適度な運動を続ける:筋力の維持は膝蓋骨の安定に大切。激しい運動は避け、平地の散歩を中心に
まとめ:グレードを知って、早めの対策を
パテラはグレード1〜2の早い段階で気づき、適切なケアをすることで進行を防げる可能性が高い疾患です。「たまにスキップするだけ」と見過ごさず、気になる動きがあれば早めに獣医師に相談しましょう。
グレード3以上になると手術が必要になり、費用も身体への負担も大きくなります。日常の環境づくりと体重管理を心がけて、愛犬の膝を守ってあげてください。
