コットンシートで歯を拭いているときや、歯磨きの最中に歯石がポロッと取れた経験はありませんか?
「ホームケアで歯石が取れるなら、わざわざ病院に行かなくてもいいのでは?」と思うかもしれません。確かに、ホームケアだけで歯石を落とせたら、飼い主さんにとってもわんちゃんにとっても負担が減りますよね。
しかし結論から言うと、ホームケアで歯石を取り除くことはできません。
この記事では、ホームケア中に歯石が取れる理由、自分で歯石を取ることの危険性、そして歯石を予防するための正しいホームケアについてお伝えします。
ホームケア中に歯石が取れた!その理由は?
歯磨きやコットンシートでケアしている最中に、歯石がポロッと取れることは実際にあります。しかし、これはホームケアで歯石を除去できたわけではありません。
歯石は、歯垢(プラーク)が唾液中のカルシウムやリンと結びついて石灰化したものです。歯垢は約3〜5日で歯石に変わり、一度歯石になってしまうと歯磨きでは取り除くことができません。
では、なぜホームケア中に取れることがあるのでしょうか?
それは、歯の表面に軽く付着していた歯石が、たまたま触れた拍子に剥がれ落ちただけです。しっかり付着している歯石は、ブラシやシートで擦っても取ることはできません。
また、歯石は目に見える部分だけでなく、歯周ポケットの中など目に見えない場所にも付着している可能性があります。表面の歯石がたまたま取れたからといって安心せず、口腔内全体のケアを意識することが大切です。
自分でスケーラーを使った歯石取りは危険
SNSや動画サイトで、スケーラー(歯石除去用の器具)を使って自分で愛犬の歯石を取る方法を見かけることがあります。しかし、飼い主さんが自己流で歯石取りをするのはとても危険です。
歯茎を傷つけるリスク
スケーラーは先端が鋭利な金属製の器具です。犬は口の中を触られると動いたり嫌がったりするため、不意に動いた拍子に歯茎を深く傷つけてしまう恐れがあります。傷口から細菌が入ると、歯周病をかえって悪化させてしまうことにもなりかねません。
歯のエナメル質を傷つけるリスク
正しい角度や力加減でスケーリングしないと、歯の表面のエナメル質を削ってしまいます。しかも、犬のエナメル質は人間と比べてとても薄く、その厚さは人間の約1/3〜1/6程度(0.3〜0.5mm)しかありません。 そのため、素人がスケーラーを使うと簡単にエナメル質を傷つけてしまうのです。エナメル質が傷つくと歯の表面がざらざらになり、かえって歯垢や歯石が付きやすくなるという悪循環に陥ります。
見えない部分の歯石は取れない
仮に目に見える歯石を取り除けたとしても、歯周ポケットの中に付着した歯石は自分では取り除けません。表面だけきれいになったように見えても、根本的な解決にはなっていないのです。
歯石除去は専門的な技術と知識が必要な処置です。愛犬の安全のためにも、自己流での歯石取りは避けましょう。
歯石除去は歯科専門の先生に任せよう
付着してしまった歯石は、動物病院で歯科専門の先生に取り除いてもらうのが基本です。人間も歯医者さんで定期的にクリーニングをして歯石や汚れをきれいにするのと同じように、わんちゃんも専門家によるケアが必要です。
動物病院での歯石除去は、一般的に全身麻酔下でのスケーリングとして行われます。麻酔をかけることで犬が動かない状態を作り、歯周ポケットの奥まで安全かつ確実に歯石を除去できます。
シニア犬は麻酔のリスクに注意
ただし、高齢になると麻酔をかけること自体がリスクになる場合があります。心臓や腎臓などに持病がある子は、麻酔に耐えられない可能性があるため、歯石除去を受けられないケースもあるのです。
私が初めて一緒に暮らしたポメラニアン2頭も、シニアになってから歯石と歯周病に悩まされました。1頭は12歳のときに麻酔をかけて歯石除去と歯周病が進行した歯の抜歯を行いましたが、もう1頭は腎臓病が悪化しており、麻酔をかけることができませんでした。
当時の私は歯磨きが苦手で、そもそも16年前は「犬に毎日歯磨きをしなければいけない」という情報自体がとても少なかったんです。そのため、シニアになってからは無麻酔で歯石取りをしてくれる方にお願いしていました。その方は元々人間の歯科で働いていた経験がある方で、信頼してお任せすることができました。
ただし、無麻酔での歯石取りは犬に恐怖やストレスを与えるリスクがあり、歯周ポケットの中まで処置することが難しいため、すべてのケースでおすすめできるわけではありません。
だからこそ、歯石が付いてから対処するのではなく、若いうちから毎日の歯磨き習慣をつけて歯石の付着自体を予防することがとても大切です。
毎日のホームケアで歯石を予防しよう
歯石は一度付いてしまうとホームケアでは取り除けません。だからこそ、歯石になる前の歯垢(プラーク)の段階で毎日取り除くことが最も効果的な予防法です。
歯垢は食事のたびに歯の表面に付着しますが、約3〜5日で歯石に変わってしまいます。つまり、毎日の歯磨きで歯垢をリセットし続けることで、歯石の付着を防ぐことができるのです。
歯磨きやコットンシートを使ったホームケアの具体的なやり方については、こちらの記事で詳しく解説しています。歯ブラシを噛んでしまう子には、360度タイプの歯ブラシがおすすめです。どの角度からでも毛先が当たるので、噛み噛みしながらでもしっかり磨けますよ。
まとめ:歯石は予防が最大のケア
ホームケア中に歯石がポロッと取れるのは、軽く付着していたものがたまたま取れただけ。歯磨きで歯石を除去することはできません。
また、スケーラーを使った自己流の歯石取りは歯茎やエナメル質を傷つける危険があるため、絶対に避けましょう。歯石除去は動物病院の歯科専門の先生に任せるのが安全です。
そして最も大切なのは、歯石が付く前に毎日のホームケアで歯垢を取り除くことです。歯垢の段階であれば、歯磨きやコットンシートで十分に除去できます。
愛犬が歯周病で辛い思いをしないよう、今日からできることを一つずつ始めていきましょう。
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