歯周病は、歯についた歯垢(プラーク)が歯石になり、それを放置することで進行する疾患です。
歯周病がさらに悪化すると、口腔鼻腔ろう(口と鼻がつながってしまう状態)や下顎の骨折など深刻な疾患を引き起こし、全身の健康にも悪い影響を及ぼします。
歯周病を予防するためには、歯石のもとである歯垢が付着しにくいご飯を心がけることと、付着した歯垢を取り除くための歯磨きなどのホームケアが欠かせません。
今回は、歯垢が付着しやすいご飯の特徴と、日頃からできる予防のポイントをお伝えします。
歯垢がつきやすいご飯の特徴
まずは、歯垢がつきやすいとされるご飯のタイプを見ていきましょう。
ウェットタイプのご飯(パウチ・缶詰)
パウチや缶詰などのウェットタイプのご飯は、ゲル状にしたりとろみをつける目的で増粘剤が使われていることがあります。これが歯と歯の間に入り込んだり、歯の表面に付着すると、細菌や食べかすがくっつきやすくなることがあります。
また、ウェットタイプは水分を多く含んでいるため、食後に水を飲む量が減りがちです。その結果、口の中に食べ物が残りやすくなるほか、噛む回数が少ないことで唾液による自浄作用がうまく働かないこともあります。
糖分が多いご飯やおやつ
人間と同じように、糖分の多い食事やおやつは歯垢がつきやすくなる原因のひとつです。
糖は口腔内の細菌のエサになり、菌が繁殖しやすくなることで歯垢も溜まりやすくなります。とくに注意したいのが、以下のような食べ物です。
- さつまいもベースのおやつ:甘くて歯にくっつきやすい
- 人間用のパンやクッキー:砂糖が多く含まれている
- ジャーキー類の中でも柔らかいタイプ:歯の間に繊維が残りやすい
飼い主さんが食べているものを「ちょっとだけ」とあげたくなる気持ちはわかりますが、人間用の食べ物は犬にとっては糖分が高すぎることがほとんどです。歯垢の原因になるだけでなく、肥満や他の疾患のリスクにもつながりますので注意しましょう。
ドライフードでも注意が必要なケース
「ドライフードなら噛むから大丈夫」と思われがちですが、小粒のフードを丸呑みしてしまう子の場合、噛む動作がほとんどないため、歯の表面を磨く効果が得られません。
また、ドライフードの中にもデンプン質が多く含まれるものがあり、これが唾液と混ざると粘り気のある状態になって歯に付着することがあります。
愛犬がフードをあまり噛まずに飲み込んでいるようなら、粒の大きさを見直すか、歯磨きやデンタルケアでしっかり補ってあげましょう。
ウェットフードが必要な子もいます
ここまでウェットタイプのご飯のリスクをお伝えしましたが、すべてのわんちゃんがドライフードに切り替えるべきというわけではありません。
疾患を持っている子やシニアのわんちゃんは、ウェットタイプのほうが食べやすく、水分補給にもなるという大きなメリットがあります。歯や顎が弱くなっている子にとっては、無理にドライフードを食べさせるほうがかえって負担になることも。
大切なのは、ご飯の種類に関わらず食後の口腔ケアをしっかり行うことです。
歯垢の付着を防ぐためにできること
歯垢がつきやすいご飯を知ったうえで、日常的に取り入れられる予防策をご紹介します。
食後の歯磨きを習慣にする
歯垢は食後6〜8時間ほどで形成が始まり、わんちゃんの場合はわずか3〜5日で歯石に変わってしまうと言われています。人間の約5倍のスピードで、これはわんちゃんの口腔内が弱アルカリ性であることが関係しています。理想は毎食後の歯磨きですが、難しい場合は1日1回でも続けることが大切です。
歯磨きが苦手な子には、歯磨きシートや指サック型の歯ブラシから始めると、口を触られることに慣れやすいですよ。
歯垢を除去してくれる食材を活用する
食べるだけで歯の表面を物理的にこすってくれる食材があります。おやつやトッピングとして取り入れてみてください。
- りんご(種と芯は取り除く):適度な硬さで歯の表面を磨いてくれる
- にんじん(生):シャリシャリした食感で歯垢の付着を防ぐ
- セロリ:繊維質が歯の間をきれいにしてくれる
ただし、これらはあくまで補助的なものです。食材だけで歯垢を完全に防ぐことはできませんので、歯磨きとの併用をおすすめします。
歯磨きガムを活用する
歯磨きガムは、噛むことで歯の表面の歯垢を物理的にこすり取る効果が期待できます。
ただし、歯磨きガムで注意したいのが丸呑みです。丸呑みしてしまうと歯を磨く効果が得られないだけでなく、のどに詰まらせる危険があります。
私は、歯磨きガムを与えるときはガムスタンド(ホルダー)を使って固定するようにしています。ホルダーにセットすると、わんちゃんが自分のペースで噛むことができ、丸呑みの防止にもなります。私のシェルティ兄妹は、寝る前のルーティンとしてガムを噛む時間を設けていて、これが毎日のデンタルケアの一部になっています。
噛めるおもちゃを活用する
歯磨きガムだけでなく、噛めるおもちゃもデンタルケアに役立ちます。噛むことで歯の表面についた歯垢をこすり落とす効果が期待できるほか、ストレス解消にもなります。
おすすめなのがヘチマ素材のおもちゃです。ヘチマは天然の植物繊維でできているため、万が一わんちゃんがかじって少量を飲み込んでしまっても、合成素材のおもちゃに比べて安心です。繊維が歯の表面や歯の間に入り込んで、歯垢を絡め取ってくれる効果も期待できます。
ただし、大きな破片を飲み込んでしまうと消化管に詰まるおそれがありますので、遊んでいる間は目を離さないようにしましょう。ボロボロになってきたら新しいものに交換してあげてくださいね。
まとめ
歯周病を予防するためには、歯垢がつきやすいご飯の特徴を知り、食後のケアを怠らないことが大切です。
歯垢がつきやすいご飯の特徴をおさらいしましょう。
- ウェットタイプ:増粘剤や水分量の多さから歯に付着しやすい
- 糖分の多いご飯・おやつ:口腔内の細菌が繁殖しやすくなる
- 丸呑みしてしまうドライフード:噛む効果が得られない
ウェットフードが必要な子もいますので、ご飯の種類を無理に変える必要はありません。どんなご飯を食べていても、食後の歯磨きやデンタルケアを習慣にすることが、歯周病予防への一番の近道です。
愛犬の歯の健康は、飼い主さんの日々のケアにかかっています。歯垢のつきやすい食事を見直しつつ、歯磨きやデンタルガムを上手に活用して、健康な歯を守ってあげましょう。

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