子犬は成長する過程で乳歯から永久歯に生え変わるため、歯が抜けることは自然なことです。しかし、成犬の歯がグラグラしたり、突然抜けたりしたときは、口の中の病気やトラブルが原因で起きている可能性があります。
私は以前一緒に暮らしていたポメラニアンが9歳のときに、永久歯が急に抜けたことがあります。当時は原因がわかりませんでしたが、今振り返ると歯周病か乳歯遺残が原因だったのではないかと思っています。
この記事では、成犬の歯がグラグラする・抜ける原因と、飼い主として知っておきたい対処法について解説します。
その歯のグラグラ、今すぐ病院に行くべき?まず緊急度をチェック
愛犬の歯がグラグラしているのに気づくと、驚いてすぐにでも病院に連れて行くべきか迷いますよね。まずは次のチェックリストで、緊急度を確認してみましょう。
今日〜明日中に受診したほうがよいサイン
- 歯茎からの出血が止まらない
- 強い口臭が急に出てきた
- 食欲はあるのに痛がって食べられない
- 顔が腫れている、頬や顎に触ると嫌がる
グラつきはあるものの元気で食欲もある場合でも、成犬の歯がグラグラするのは自然なことではなく、体からのサインです。放置せず、早めに受診の予約を取りましょう。
成犬で歯がグラグラする・抜ける3つの原因
①歯周病
3歳以上の犬の約80%が歯周病にかかっているというデータもあり、歯がグラグラする原因としてもっとも多いのが歯周病です。若いからといって歯周病にならないとは限りません。
歯周病は、歯と歯茎の間にたまった歯垢が歯石になり、歯肉に細菌が入って炎症を起こすことで進行します。初期の歯肉炎から始まり、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまい、歯がグラグラになってやがて抜けてしまいます。
さらに重症化すると、口の中だけにとどまらず、鼻にまで炎症が広がったり、顎の骨を溶かしてしまったり、細菌が血流に乗って心臓・肝臓・腎臓などの臓器に影響を及ぼすこともある怖い病気です。
②怪我や外傷(破折)
硬いおもちゃを噛んだり、口の中を怪我したりすることで、歯が折れたり抜けたりすること(破折)があります。
特に注意が必要なのは、硬すぎるおもちゃや骨、鹿の角、牛の蹄などです。これらは歯や歯茎を傷つける可能性が高く、歯を守るためにも硬すぎるものは避けましょう。
③乳歯遺残が原因になることも
子犬のときに乳歯がうまく抜けず、永久歯と一緒に残ってしまう「乳歯遺残」も、歯がグラグラする原因のひとつです。
乳歯が残ったままだと永久歯との間に歯垢がたまりやすくなり、歯周病が進行して永久歯までグラグラになるリスクが高まります。乳歯遺残は小型犬に多く、早めに抜歯することが推奨されています。
グラグラした歯、自分で触ってもいい?やってはいけないNG行動
グラグラしている歯を指で押したり、無理に抜こうとしたりするのは避けましょう。歯の根元に炎症が起きている場合、刺激することで痛みが強くなったり、出血や感染が悪化したりすることがあります。気になっても自己判断で触らず、動物病院で診てもらうのが基本です。
歯の治療は専門家でないと難しい
乳歯遺残や歯周病の治療は、実は歯科に詳しい獣医師でないと適切に診てもらえないことが多いのが現実です。一般的な動物病院では、歯科に関する知識や設備が十分でない場合もあります。
私の前のポメラニアンも去勢手術を受けましたが、そのときに乳歯の抜歯はしてもらえませんでした。麻酔をかけるタイミングで乳歯を抜いてもらえれば、その後の歯のトラブルを防げた可能性があります。当時は私自身も歯科の知識が不足していて、乳歯遺残のリスクをきちんと理解できていませんでした。
その経験を踏まえて、今のシェルティ兄妹は去勢・避妊手術のときにしっかり確認してもらい、1本も乳歯は残っていません。歯のことを早い段階で意識できるかどうかが、愛犬の口腔内の健康を大きく左右すると実感しています。
動物病院では何をする?治療の流れと費用の目安
動物病院を受診すると、まず口腔内の視診とレントゲン検査で歯の根や歯槽骨の状態を確認します。歯周病が進行している場合は、全身麻酔をかけたスケーリング(歯石除去)や抜歯が必要になることもあります。費用は検査・処置の内容によって幅がありますが、麻酔を伴う抜歯やスケーリングでは数万円単位になることも珍しくありません。心配な場合は、事前に電話で大まかな費用感を確認しておくと安心です。
歯科の治療は設備や知識の差が出やすいため、病院選びも大切です。詳しくはかかりつけの病院で大丈夫?歯科治療における動物病院の選び方を参考にしてください。治療費が心配な方は、犬にジャンプされて歯が取れた体験談|ペット保険の落とし穴もあわせてご覧ください。
こんな症状が見られたら早めに受診を
毎日の歯磨きのときに、以下のような様子が見られたら早めに獣医師に相談しましょう。
- 歯が揺れて動いている
- 口臭がきつくなった
- よだれが増えた
- 歯茎が赤く腫れている、出血している
- 食欲はあるのに食べにくそうにしている
- 顔の周りを触ると嫌がる
歯周病は早期発見・早期治療が大切です。歯科に詳しい動物病院を探しておくことも、愛犬の歯を守るための大切な備えになります。
歯がグラグラにならないために|自宅でできる3つの予防法
歯周病や歯のトラブルを防ぐためには、日々の予防が何よりも大切です。歯がグラグラしてからでは手遅れになることもあるため、元気なうちからケアを始めましょう。
1. 毎日の歯磨きを習慣にする
歯垢は約3〜5日で歯石に変わり、一度歯石になると歯磨きでは落とせません。毎日歯磨きをすることで、歯垢が歯石になる前に取り除くのが最も効果的な予防法です。
私は以前一緒に暮らしていたポメラニアンが歯周病で多くの歯を失った経験があり、その反省から今のシェルティ兄妹には毎日欠かさず歯磨きをしています。歯ブラシを噛んでしまう子には、360度タイプのブラシがおすすめです。どの角度からでも毛先が当たるので、噛まれながらでも磨けます。
歯磨きが苦手な子には、ヤギミルク味の歯磨きジェルなど嗜好性の高い製品を使うとスムーズに受け入れてくれることがあります。詳しくはこちらの記事で紹介しています。
👉 愛犬が歯磨きを嫌がる?ヤギミルク歯磨きで変わった3つのこと
2. デンタルガム・噛むおやつを補助的に活用する
噛むことで歯の表面の汚れを物理的にこすり落とす効果が期待できます。ただし、デンタルガムだけで歯磨きの代わりにはなりません。あくまで歯磨きの補助として、毎日のおやつタイムに取り入れるのがおすすめです。
硬すぎるおやつは逆に歯が折れる原因になるため、愛犬の体格に合ったサイズと硬さを選びましょう。
👉 犬の歯磨きガムの正しい与え方|効果を最大限にする5つのポイント
3. 定期的に動物病院で歯科チェックを受ける
自宅のケアだけでは落としきれない歯石は、動物病院でのスケーリング(歯石除去)が必要です。全身麻酔を伴うため負担はありますが、歯周病が進行してから治療するよりも、早めの予防処置のほうが愛犬への負担は少なくなります。
年に1回は獣医さんに口の中をチェックしてもらい、必要に応じてクリーニングを受けることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 歯がグラグラしているけれど、食欲はあります。様子を見ても大丈夫?
食欲があっても、歯周病や乳歯遺残が進行している可能性があります。自然に治ることはないため、早めに動物病院で診てもらうことをおすすめします。
Q. 抜けた歯はまた生えてきますか?
永久歯が抜けた場合、乳歯と違って再び生えてくることはありません。抜けた原因(歯周病・外傷など)を特定し、残りの歯を守る対策が重要です。
まとめ:成犬の歯が抜けるのは異常のサイン
成犬で歯がグラグラしたり抜けたりするのは、歯周病・外傷・乳歯遺残などが原因です。特に歯周病は成犬の大半がかかっている身近な病気で、放置すると全身に影響を及ぼすこともあります。
毎日の歯磨きで口の中をチェックし、異変に気づいたら早めに歯科に詳しい獣医師に相談しましょう。愛犬の歯を守れるのは、飼い主さんの日々のケアと知識です。
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