愛犬の歯が欠けていたり、折れているのを見つけたら驚きますよね。犬の歯が折れたり欠けたりすることを「破折(はせつ)」と呼び、犬の歯科トラブルのなかで非常に多い疾患のひとつです。
破折は放置すると歯の神経(歯髄)が感染して膿がたまったり、顎の骨にまで炎症が広がったりすることがあります。早期発見と早期治療がとても重要です。
この記事では、犬の歯が折れる原因、見つけたときの応急処置、そして治療法について解説します。
犬の歯が折れる主な原因
犬の破折は日常のなかで意外と起こりやすいトラブルです。主な原因は以下のとおりです。
- 硬いおやつ:鹿の角、牛の骨、ひづめ、ハードチーズなど犬の歯より硬いものを噛んで折れるケースが最も多い
- 硬いおもちゃ:硬いプラスチックや石、テニスボールの長期使用(歯が削れる)
- 外傷:他の犬との接触事故、転倒、フェンスや柵への衝突
- ペットボトルのキャップなどの異物:カジカジしているうちに歯が削れたり欠けたりする
- 加齢による歯の脆弱化:シニア犬は歯がもろくなり、通常の力でも折れることがある
特に上の第4前臼歯(奥歯の大きな歯)の破折が多く、硬いものを噛む力が集中しやすい場所です。
破折の種類と危険度
破折には種類があり、歯髄(歯の神経と血管が通る部分)が露出しているかどうかで治療の緊急度が大きく変わります。
| 破折の種類 | 歯髄の状態 | 緊急度 | 主な治療 |
|---|---|---|---|
歯髄が露出している場合、細菌感染のリスクが非常に高くなります。歯の中心にピンク色や赤い点が見えたら、歯髄が露出しているサインです。できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
歯が折れたときの応急処置
愛犬の歯が折れたことに気づいたら、以下の対応をしてください。
①口の中を確認する
出血がないか、歯茎が腫れていないか、折れた歯の断面に赤い点(歯髄露出)がないか確認します。ただし、犬が嫌がる場合は無理に口を開けないでください。
②硬いおやつやおもちゃを取り除く
破折の原因になったと思われるものはすぐに取り上げ、それ以上歯に負担がかからないようにします。
③できるだけ早く動物病院を受診する
特に歯髄が露出している場合は、破折から時間が経つほど治療の選択肢が狭まります。48時間以内であれば歯髄を保存できる可能性がありますが、時間が経過すると抜歯しか選べなくなることもあります。
④折れた歯の破片を保管する
折れた歯の欠片が見つかった場合は、湿ったガーゼに包んで保管しておきましょう。獣医師が破折の状態を判断する参考になります。
破折の治療法
破折の治療方法は、歯髄が露出しているかどうかと破折からの経過時間によって異なります。
歯髄が露出していない場合
レジン(歯科用の樹脂)で歯の表面を修復する歯冠修復処置を行います。歯の形態を回復し、これ以上の損傷を防ぎます。比較的軽度な処置で済むことが多いです。
歯髄が露出している場合(早期)
破折から時間があまり経っておらず、歯根が割れていない場合は、歯髄保護(露出した歯髄を保護材で覆う)や歯内療法(歯髄を取り除いて根管を充填する、いわゆる「神経を抜く」治療)で歯を残せる可能性があります。
歯髄が露出している場合(時間が経過)
感染が進んでいる場合は、歯内療法で対応できることもありますが、感染がひどい場合や歯根まで破折している場合は抜歯が基本的な治療になります。
歯根破折の場合
歯の根元が折れている場合は、ほとんどのケースで抜歯が必要です。歯根破折はレントゲンでないと確認できないことが多いため、破折が疑われる場合は歯科レントゲンのある動物病院を受診することをおすすめします。
破折を予防するためにできること
破折を100%防ぐことは難しいですが、リスクを減らすための対策はあります。
- 硬すぎるおやつを与えない:爪で押して跡がつかないほど硬いものは避ける。鹿の角、骨、ひづめは特に注意
- おもちゃの素材を選ぶ:硬いプラスチックや石は避け、適度な弾力のあるゴム製のおもちゃを選ぶ
- 定期的に歯をチェックする:歯磨きの際に歯の表面にヒビや変色がないか確認する
- 歯科検診を受ける:年1〜2回の歯科検診で、目に見えない歯根のトラブルも早期発見できる
まとめ:歯が折れたら「すぐに受診」が鉄則
犬の破折は、硬いおやつやおもちゃ、事故などで意外と簡単に起こります。特に歯髄が露出している破折は、時間が経つほど治療の選択肢が減るため、気づいたらできるだけ早く動物病院を受診してください。
普段から硬すぎるおやつを避け、定期的に歯のチェックをすることで、破折のリスクを大幅に下げることができます。愛犬の歯を長く健康に保つために、日頃からの予防を心がけましょう。
