わんちゃんの唾液には抗菌成分や消化酵素、電解質などが含まれていて、食べものを飲み込んだり消化を助けたりする大切な役割を担っています。
おやつやごはんを目の前にしたとき、興奮したとき、緊張やストレスを感じたときなどに、よだれとして口から唾液が出ること自体は自然なことです。
私のシェルティ兄妹の妹は、食べものを目の前にするといつもよだれを垂らしています(笑)。
ただし、よだれが止まらない、いつもより明らかに量が多い、他の症状をともなっているといった場合には注意が必要です。
今回は、わんちゃんが過剰によだれを垂らしてしまうときに考えられる7つの原因と対処法について解説します。
① 口腔内のトラブル
歯周病、歯肉炎、口内炎のほか、腫瘍や感染症など口の中にトラブルを抱えている場合、よだれが過剰に出ることがあります。
また、硬いものを噛んだときに歯が欠けてしまったり、口の中に異物が詰まったり、口腔内が傷ついたりすることもよだれの原因になります。
以下のようなサインが見られたら、口腔内トラブルの可能性を疑いましょう。
- よだれに血が混じっている
- 口臭がいつもより強い
- ごはんを食べにくそうにしている、片側だけで噛んでいる
- 口まわりを触られるのを嫌がる
歯周病は3歳以上のわんちゃんの多くが罹患しているとも言われる身近な疾患です。日頃から歯磨きや口腔ケアを習慣にすることで、予防につながります。
② 胃腸の不調やお腹の痛み
消化器系の炎症や疾患、腹部の痛みによって、よだれが過剰に出ることがあります。
胃腸の不調が原因の場合は、よだれ以外にも以下のような症状が同時に現れることがあります。
- 落ち着きがない、そわそわしている
- 下痢や軟便が続く
- 食欲不振
- お腹が張っている(腹部膨満)
- 嘔吐や吐き気の仕草をする
とくに注意したいのが、大型犬に多い胃拡張胃捻転症候群(GDV)です。胃がガスで膨れてねじれてしまう緊急性の高い疾患で、大量のよだれ・お腹の膨らみ・吐こうとしても吐けないといった症状が見られます。この場合は一刻も早い処置が必要です。
わんちゃんはお腹が痛いとき、体を丸めたり、痛い箇所をかばうような動きを見せることがあります。普段と違う様子に早く気づいてあげることが大切です。
③ 熱中症
暑い季節にわんちゃんがよだれを過剰に垂らしている場合は、熱中症の可能性が考えられます。
わんちゃんは人間のように全身で汗をかくことができず、主にパンティング(ハァハァという荒い呼吸)で体温を調節しています。体温が上がりすぎるとパンティングだけでは追いつかず、大量のよだれとともに以下の症状が現れます。
- ぐったりして動かない
- 歯ぐきや舌の色が濃い赤色になる
- ふらつきがある
- 嘔吐や下痢
とくに短頭種(パグ、ボストンテリア、フレンチブルドッグなど)は呼吸による放熱が苦手なため、熱中症になりやすい犬種です。
暑い時間帯の外出を避けること、お散歩時や室内でも十分な水分補給と涼しい環境を確保することが予防の基本です。
④ 化学物質や毒性のあるものを口にした
家庭用の洗剤や漂白剤、殺虫剤などの腐食性化学物質を舐めたり口にしたりすると、口腔内の粘膜が刺激されて過剰なよだれが出ることがあります。
わんちゃんは床に置いてある洗剤のボトルを噛んでしまったり、掃除直後の床を舐めてしまったりすることがあります。洗剤や薬品類はわんちゃんの届かない場所に保管することが大切です。
もし口にしてしまった場合は、何をどのくらい摂取したかを確認し、すぐに動物病院に連絡しましょう。自己判断で吐かせようとするのは危険な場合があるため、必ず獣医師の指示を仰いでください。
⑤ 有毒な植物や動物に触れた
有毒な植物や動物を舐めたり口にしたりすると、よだれが過剰に出たり、生命を脅かす症状を引き起こすことがあります。
注意が必要な植物の例:
- チューリップ(球根がとくに危険)
- ツツジ
- キク
- ユリ
- アジサイ
注意が必要な動物の例:
- ヒキガエル(毒腺から毒素を分泌)
- 毒性のあるクモ
好奇心旺盛なわんちゃんは、お散歩中に草むらに入ったり、小さな生き物に近づいたりすることがあります。とくに春〜夏にかけては植物が生い茂り、カエルなども活発になる時期です。お散歩やレジャーの際は、わんちゃんが何を口にしようとしているか注意して見てあげてください。
⑥ 車酔い(乗り物酔い)
意外と多いのが、車酔いによるよだれです。
車に乗ると大量によだれを垂らしたり、嘔吐したりするわんちゃんは少なくありません。とくに子犬や車に慣れていない子は、内耳の三半規管が刺激されて酔いやすい傾向があります。
車酔いのサインとしては、以下のようなものがあります。
- 大量のよだれ
- あくびを繰り返す
- そわそわして落ち着かない
- 嘔吐
車に乗る前は食事を控えめにする、こまめに休憩を取る、窓を少し開けて換気するなどの対策で改善することがあります。どうしてもひどい場合は、獣医師に相談すると酔い止めの薬を処方してもらえることもあります。
⑦ 精神的なストレスや不安
強いストレスや不安、恐怖を感じているときに、よだれが増えることがあります。
犬は精神的なストレスを感じると自律神経のバランスが崩れ、唾液の分泌が増えることがわかっています。以下のような場面でよだれが増えることがあります。
- 雷や花火などの大きな音
- 動物病院の待合室
- 留守番中の分離不安
- 同居犬との別れなど、環境の大きな変化
私は以前ポメラニアンを2頭飼っていたのですが、1頭が先に旅立ったとき、残されたもう1頭は3日間何も食べなくなってしまいました。元気もなくなり、寝ているときによだれが垂れてしまっていたのを覚えています。
犬も人間と同じように、仲間を失った悲しみ(ペットロスならぬ「コンパニオンロス」)を経験することがあります。食欲の低下や元気の消失、過剰なよだれなどは、精神的な苦痛のサインかもしれません。
時間とともに少しずつ回復していくことが多いですが、数日間食べない状態が続く場合は脱水や栄養不足が心配になります。無理に食べさせるのではなく、そばにいて安心させてあげること、そして必要に応じて獣医師に相談することが大切です。
よだれが気になったらチェックしたいポイント
愛犬のよだれが気になったとき、以下のポイントを確認してみてください。動物病院を受診する際にも役立ちます。
- いつ頃からよだれが増えたか
- よだれの量や色、臭いに変化はないか
- 食欲はあるか
- 嘔吐や下痢などの症状はないか
- 口の中に傷や腫れ、異物はないか
- 最近環境の変化(引っ越し、家族の変化など)はなかったか
- 散歩中に何かを拾い食いしていないか
まとめ
わんちゃんのよだれは自然な生理現象ですが、いつもと明らかに違う量のよだれや、他の症状をともなうよだれは、体の不調を知らせるサインかもしれません。
とくに以下のようなケースでは、早急に動物病院を受診しましょう。
- 化学物質や毒性のあるもの、有毒な植物・動物を口にした可能性がある
- よだれと同時にぐったりしている、呼吸が荒い
- お腹が膨れて吐こうとしても吐けない
- 意識がもうろうとしている
一方で、ストレスや車酔いなど、原因がわかれば環境を整えることで改善できるケースもあります。
大切なのは、飼い主さんが普段のよだれの量や様子を把握しておくこと。「いつもと違う」と感じたら、それが大きなトラブルを防ぐ最初の一歩になります。愛犬の小さな変化を見逃さず、気になることがあれば早めにかかりつけの獣医師さんに相談してくださいね。

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